\ 歯科衛生士のおはなし /

平均寿命が延びている日本の健康寿命は延びていないことを

ご存知の方も多いと思います。
平均寿命と健康寿命(日常的・継続的な医療・介護に依存しないで自分の心身で

生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと)の差が開いてくると、

やはりそれは、自分はもちろん周囲の人も、困ることが多くなってくることを

容易に想像できるでしょう。

ほんどの方が、“元気で過ごしたい" 快適に寝られて、

空気やご飯を美味しく感じることができて、楽しくおしゃべりして笑って、

と考えていらっしゃると思います。 そうあるためには、毎日の生活習慣が

基本になっているという事はいうまでもありません。

日の出とともに目覚め、白湯を飲み、お日様を全身に浴び、深呼吸をして、

ラジオ体操的な全身ストレッチをして、靴を履いて外を歩き、

1日2~3食の食事をほぼ決まった時間に腹八分目、人と笑顔で挨拶をする。

季節と合わせて過ごし方も多少変化があるので、
例えば冬は夏より睡眠時間を1時間長くしたり、旬の食物を積極的に摂るようにしたり。
やはり自然の中で生かされている我々は、自然に逆らわず感知することで、

自らの免疫力を高めていくことができるのだと、私は感じています。
では、歯科でお手伝いできる健康寿命をのばすことは、何ができるでしょう。
“食べる”ことをさらに“美味しく食べる”につなげていくことです。
そのためには、ただ歯がそろっていれば良い、というわけでもありません。
例えば、乳歯が20本生えそろう年齢は3歳くらいですが、

本数があればすぐ何でも食べられるわけはありません。

それを使いこなせる機能が伴っていないと噛めないものを口から出そうとしたり、

むりやり飲み込んでいくために、機能障害が起こります。
実は咀しゃくは、歯で食べるというよりも、

首とそれらを支える筋肉を使って食べます。
舌でつぶせる固さの、1口が多くないもの、正面を向いて、

椅子に座るならば足裏は下につけて、閉唇して食べる。
これらを行っていくことでようやく固形のものを咀嚼できるようになっていきます。
実は大人になってもこの定義は当てはまるため、ぜひ客観的に

自分を評価していただきたいところです。

やわらかいものを食べなくてはいけないのではなく、咀嚼し続けて上顎に舌でそれらを

つぶせる固さになるまで柔らかくして、飲み込む。
逆に、そういう固さにならない食材は好ましくないということになります。
そして、小児と高齢の違うところは、“誤嚥”です。
飲食物が気管に入ってむせることができればまだよいのですが、

そのむせる力のない方や気管に入っても飲食物がそのまま抵抗なく

流れ込んでしまっていると、それがやがて感染をおこし、誤嚥性肺炎になってしまいます。
先日受講した時の動画では、口から摂食した塊を数回噛んで飲み込み、

それらが食道ではなく裏側の気管へとむせることなく流れていく画はとても衝撃的でした。

やはり食事時の姿勢、接地足で背を伸ばし閉唇で正面を向いて食べる、

この基本でかなり予防できると考えます。
自分の歯であろうが人工の歯であろうが正しく美味しく楽しく食べることは、

健康寿命をのばす1つのポイントとなることは間違いありません。
そのためには日常の立居振舞が体の筋肉を造り、それが骨格を支えて、

静止した美しい姿勢になっていく。そうすることで、食べ物を咀嚼して、

それらが栄養として体へ摂りこまれていくのです。

自分の免疫力を高め、健康でいられる時間を確保していきたいですね。
近い未来、遠い未来を不具合なく過ごしていく自分のために、

今日から頑張りましょう。

歯科衛生士 野口

吉川医療モール歯科