磨いていても歯石はつくの❔
歯医者へ行くと、虫歯の治療とは別に
「歯石を取りますね。」
と、歯科衛生士にいわれるけれど今さらながら“歯石”ってなんなのでしょう?
“歯槽膿漏”や“歯周病”はお聞きになったことがあると思います。
その病気の原因の一つとして、歯石がついてしまうこと、にあります。
歯石とは、歯垢が石灰化した細菌の死骸です。
身体には、無数の常在細菌がいます。
皮膚にも、内臓にも、そしてお口の中にも存在します。
数憶種類の細菌が、それぞれ体で拮抗したり、体調に合わせてある種が増加したり、
減少したりして,一定の範囲で増減しているのが常在の意味です。
菌は、悪いもののようにも聞こえますがいてくれないと困るものです。
自分に住んでいる菌は、外から侵入しようとするたくさんの菌と戦い
体を守ってくれています。
もし体を無菌状態にしてしまうことができたなら、
外からの様々な病原菌に一発でやられてしまう(感染する)ということです!!
歯石になる菌の代表として“アクチノマイセス”という菌がいます。
これは、誰の口の中にも存在する常在細菌叢のひとつです。
歯石になるので「悪い菌」と考えがちですが、
存在しているだけでは歯石になりません。
嫌気性菌という、酸素を嫌う細菌が増殖し始めるとこの
アクチノマイセスが活動し始めます。
嫌気性菌が増殖すると、歯茎が腫れたり出血したりします。
口の中にとってはよくない環境になっていこうとするときに、
アクチノマイセスが嫌気性菌を抑制しようと戦い始めるのです。
戦った結果、アクチノマイセスの“死骸”が、「歯石」として歯の周りに付くのです。
(かぶせものをしている歯や入れ歯にも歯石は付きます)
歯石は、ざらざらしたり口臭の原因になったりして邪魔なものですが、
普段は悪さをしない常在菌の一種だけれど、いざ悪者が登場した時には頑張って
増殖して結果的には生体にとって有害であるものを作ってしまうということです。
そして体は嫌気性菌と戦う力がある、ということを意味します。
悪い菌は悪さをするから悪い菌であって、活動しないように悪さをしない
常在細菌と悪さをする常在細菌の数のバランスを保つことが、
病気にならないための予防になるということがわかります。
では嫌気性菌は、どういうときに増殖し始めるのでしょう?
主に体全体の血液循環が悪くなると嫌気性菌は増えてきます。
たとえば、睡眠時間が一定でない・偏食・歩行量が減った
・動かないでいる姿勢が多い・精神的ストレスが多い
・体温が36.4度以下(低体温は生活の結果ですが) など。
もっともっとたくさんありますが・・・
こういったことを知ると本質が見えてきます。
毎日歯磨きをしているのに、検診に行くと必ず「歯石をとりますね」
と言われるのは、歯を磨いていても生活の質が悪くなることで体の血液循環に
悪影響を及ぼし結果、歯石を作っているのだ、と。
ただ、この世の中まったくストレスを感じずに、
日々同じリズムで過ごしていくことは難しいようにも感じます。
しかし、最近心配なことは、幼稚園児や小学生でも
歯石がついてしまっているという事です...
生活や病気は他人と比べるのではなく、
自分の歴史の過程において大きな変化のないように気を付けることが大切です。
ですから、結果ついてしまった歯石に関して私たちは、注意することはしません。
どうして血液循環が悪くなってしまったのかを、一緒に見つけ、お知らせします。
仮に歯石を作ってしまっても、取ってよい歯石と取ってはいけない歯石を
見極められる私たちにお任せください。
保険の範囲内で通院できる回数は決まっていますが、丁寧に治療いたします。
いつ、どんな口の中の環境になるのか、どんな細菌が外部から入ってくるのか
予想できませんよね。ですから、いろんな種類の環境や
いろんな種類の感染に対応できるように、いろいろな種類の常在細菌が
口の中で待っているのです。
体の入り口で門番をしているこの常在細菌を減らそうという考えは、
実は体を危険にさらしているということなのです・・・
嫌気性菌を増やさない身体にしていくことに意味があります。
誤解のないように追加いたしますが、
歯磨きをしなくて良いということではありません。
エチケットとして、手洗いうがいをするように、毎日歯磨きはしてくださいね。
そして、超極細毛は使わないようにしましょう。
長文になってしまいました…
歯科衛生士 野口