今回は歯周病原因の4つのパターンの3番目の因子である血液循環障害を考えます。
血液循環障害とは、読んで字のごとく血の巡りが悪い 血液がスムーズに流れていない状態をいいます。
歯周組織とは 歯肉、顎の骨、両者をつなげる歯根膜という繊維、歯根セメント質をさします、根の表面をおおうセメント質(石灰化した組織)を除いてすべて血液の存在を認めます。これは血液の力を受けているということに他なりません、血液の力って? 血液中の細胞として赤血球、白血球、血小板があり 聞いたことは誰でもあると思います 赤血球は酸素や栄養などの運搬にかかわり、細胞に酸素や栄養素をとどける、白血球は体を守る役割があり、細菌やウイルスと戦い、血小板は出血を止める働きがあります。そしてこうした血液の力を得るためには、スムーズに流れていることがとても大事で必要です。流れが滞っていたり 汚れていたりすると細胞が生きにくい環境になってしまうのです 例えば爪の先をギュウっと押し続けると白くなりますね、これが血の流れが止ってしまった状態で もし永久に流れを止めてしまうと、止められた先の組織は壊死してしまいます。このように血液は流れていないと、循環していないと役割を果たせないのです、それゆえにどんなに一生懸命に歯を磨いても、強く咬みしめていなくても、血液循環が悪いことで歯肉や顎の骨や歯根膜といった歯周組織が壊れてしまい歯周病になってしまいます。
ではどのようにして 血液循環障害をおこしてしまうかを考えると、日常 普通に生活習慣のなかに多く見られます。偏った食事内容により ドロドロした血液になってしまい血行不良をおこすこともありますが、血液の質とは別に物理的な要因で血液の流れを悪くしてしまう習慣が多くあります。 通勤電車の中で寝る、高い枕で寝る、下向きで編み物や洋裁をする、うつ伏せに寝る、寝ながら何かをする、すぐ横になってゴロゴロする、足を組む、体の軸に対して首を曲げていることが多い、首をポキポキいわせるなど 首が曲がっている時間の持続や、パンを食べる事が好き、ガムをよく咬む、歯ごたえのある食品が好きなど首まわりの筋肉を酷使してしまうことにより生じる血液循環障害。以上のような本当に誰もが普通にしている習慣で、結果 循環障害をおこしてしまうのです、気をつけなければならないのは、あくまでも習慣なので、ごくたまにするくらいでは影響は少ないでしょう。このように歯周病の原因を考えると 直接口の中に原因はほとんどなく、口の外、体に、さらに生活習慣の中に原因があることがわかります。もっともこの生活習慣を正していく事が一番難しいでしょうし、なかなか出来ることではないと思います、またどういう生活習慣が正しいのかも共通認識のない現状においてはなおさらです。ただ今回書いた生活習慣が歯周病の原因になるという事は、私たちは毎日の臨床の中で検証出来ていることです。
 血液循環障害は歯周病の原因になる他にも 脳血管障害(脳卒中)などの疾患のリスクもあげる可能性も高いので日々の生活習慣を十分に気を付けたいですね。

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