\ 歯科衛生士のおはなし /

舌苔(ぜったい)のそうじは必要なのですか?

“舌”は、とても重要な働きをしています。
味覚を感知、発音、滑舌、異物を感知、咀嚼、嚥下

(食物や飲み物などを飲み込む動作)、吸引
この口の中に存在する“舌”に、表情があることを、皆さんはご存じでしょうか?
よく、舌苔をこすってきれいにする、舌苔は口臭の原因になるなどと聞きます。
実際に舌苔のたくさん付いている人は、口臭を感じることがあります。
セルフチェックをして、それらをきれいにすることもよいかもしれません。
もし清掃するのであれば、柔らかいブラシで優しくこする程度にしましょう。
でも、ちょっとまって・・・
舌苔って、どうして、つくのでしょう?
日によってつき方が、違うのでしょう?
舌苔には、大きく分けて3色あります。
白色・黄色・灰黒色。
さらにその中で、
性状《ねばねば、かさかさ、なめらか、ぼそぼそ等》
量 《厚い、薄い、無い!》
範囲《舌のどの部分か》
舌苔の色は、飲食でも左右されるので基本的には

食後30分以上経過してから観察します。
ちなみに、牛乳や豆乳を飲むと白色・みかんなどの柑橘類を食べると

黄色・青果や野菜を食べると灰黒色に変化します。

これらは、舌苔の上に浮いていて病気とは関係ありません。

舌苔の表情は、体調で変化します。
唾液の量や質(サラサラorネバネバ)口腔内常在菌、菌の数 など
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体調は、交感神経と副交感神経をつかさどっている自律神経の影響を受けます。

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内臓神経との関連が強く、内臓の状態を反映します。
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口の中は上部消化器となるため、上部消化管の性状を持つと考えてよいのです。

例)胃粘膜の状態が良くないときには、一般的に舌苔は分厚くなります。
舌苔が多くなると、味覚や感覚が鈍くなります。

逆に、『体の機能として胃が働けていないのだから食べ物をおいしく感じさせないために、

たくさん食べさせないために』舌苔が増えるのです。
食物摂取を減少させることにより、胃粘膜を保護するわけです。
そう考えると、むやみにこすって舌苔を落としてしまうことは体からの訴えを

無視することになり病気の早期発見を見逃してしまうことになりませんか?
また、内科の先生は「はい、舌を出してください」と舌診をします。
舌苔の色・量・におい・舌の色・むくみ・乾き等 舌全体を診るのです。
そして、舌の裏側も診ます。裏側には静脈が走っています。
私達も、患者さんの歯を治療しながら口の中全体を観察しています。
舌は、体内を写す鏡・内臓の鏡とも言われています。
舌の色、むくみがないか、委縮していないか、乾きはないか、斑点や線はないか、

元気よく前に出したり上に持ち上げられたりできるか、

静脈は左右対称か浮き出ていないか、舌苔の状態は・・・
担当の患者さんは特に、“変化”がわかります。
寝不足かな?交感神経優位なことばかりしているな?血圧高くなったかな?

風邪をひく前かな?
貧血かな?薬の種類変わったかな?
もっと診られるようになると、脳疾患や心疾患もわかってくるそうです。

(まだまだ勉強中です)
むし歯や歯周病は口の中に原因がないことの方が多いです。舌もしかり、

身体とつながっているのですから、舌苔が悪いのではなく、

舌苔を発生させる生活の変化や習慣が悪いことに気づいていかなくてはいけません。
原因は、遠くに存在する。
それを診断し、アドバイスしていけたらよいなあと、日々勉強しております・・・。

【健康な舌】

舌質はやわらかく湿潤し、健康的で明るい赤色をしている。

舌苔は白く・薄い

DH. 野口

吉川医療モール歯科