歯並びや虫歯の発生、歯周病など口の中の出来事に関して『生活の結果である』ということをお話しし続けてきました。生まれた瞬間から、のイメージですが実は胎内にいる時から…もっと以前からの母と父の習慣(食物・嗜好品・時間など)が子どもに与える影響は計り知れません。
特に近年では、栄養不良や偏りで子供が正常に成長しないケースが多く存在します。
私も今勉強中ですが、以前に衛生士のおはなしで取り上げた“食べたものが身体を造っていく”の回にあります“植物油の悪いもの”がひとつです。
胎内には、生まれてから補うことのできないものが沢山ありますが、知ってか知らずか悪いものを食べてしまっている母体は、子どもが胎児の時の栄養不良を引き起こし、結果の歯並びにつながっていきます。
骨や筋力が育つ条件がそろわないのです・・・。これから、個人個人が何をしていけるのかの基本をまとめてみます。

学校歯科検診で「歯列不正」にチェックがついて矯正相談にいらっしゃるお子様が増えてきた今、お子さんが自分で気を付けていかなければ悪くなっていく口の中や骨格、内科疾患。
それが正しく行えているかどうかの、大人の評価。
それを指導する大人ご自身の生活習慣。

厳しいようですが、それらを当たり前のように過ごしてこられたご高齢の方々は、強いです。当院に通ってこられる患者さんも然り、一押しYさんは今月で96歳を迎えられまして29本残存歯のきれいな歯列です‼
92歳Iさんも29本できれいな歯並び‼
私の祖父と祖母は4人とも、歯並びはよかったです。戦後の食や環境の変化で歯を割ってきたり、高血圧や糖尿病は発生しましたが・・・(泣)

<生活習慣確認>
*和食を中心とした食生活をこころがけている
*硬い食べ物・コシのある食べ物を毎日食べない:ガム・グミ・スルメ・おしゃぶり昆布・ナッツ類・ジャーキー・シリアル・パン・ドライフルーツ・玄米・・・
*規則正しい生活をこころがけている
*移動手段にエレベーターやエスカレーター、自転車や車を使わないようにこころがけている
*大股で腕を大きく振って歩行している
*理想は正座ですが、椅子に座るときには下に足を全部つけてよりかからずに(ソファーは腰が曲がった姿勢になるので足が下についていてもよくありません)、お茶碗を持ち、お箸を使い、正面をむいて、唇を閉じて、1口20回以上咀嚼している
*寝転がってテレビを見たり、本や新聞を読んだり、ゲーム、スマホをしない
*足を組まない
*唇を結び、歯を噛まないようにして、鼻呼吸をしている
*甘味の量や質に気を付けている
*食品の添加物に気を付けている
*かかとの高い靴やサンダルのようなかかとを包み込まない靴は履かない

このくらいは、医療界として常識となっています。
守れるか守れないかは、ご本人にお任せしますが、これらの生活習慣を全く無視して、子どもの歯並びをキレイにしたい、はみ出た歯を抜いて矯正装置を使って仮に見た目が整ったとしても、成人して、きっとその生活習慣にそってまた歯は移動してきてしまうのです。

祖父や祖母の時代には、歩いて移動することが当たり前で、畳にちゃぶ台では正座するしかなく、するとお茶碗は持たなければ食べ物は口からこぼれてしまうし、スプーンやフォークを使う洋食は数ヶ月に一度の外食なので口で食べ物を迎えに行く習慣は付かず、テレビはつけずに家族との会話で楽しく食事をとり、お行儀が悪ければその場で注意され、掃除機や洗濯機や冷蔵庫など便利がないので家事の手伝いを子どもたちがするからゴロゴロする時間はなく、その合間をぬって外で遊び、勉強ができる喜びがあり、添加物のないお味噌やお漬物、畑のお野菜で蒸かしたりゆでたり焼いたり手作り料理で手作りお弁当で、油は貴重品だから揚げ物や炒め物は滅多になく、甘味も貴重品だったので時々のご褒美だったと聞きました。
そして、その祖父や祖母たちが「なかった時代」から「簡単に手に入る甘い時代」に突入して自分たちがしてこられなかったことを、子や孫にしてあげようとする結果が、崩れかかった現代に影響していることもあるかもしれません。
ちなみに私の祖母は作法に厳しく、祖父は遊びに行けばデザートはバニラのアイスクリームでした(笑)もう片方の祖父は作法に厳しく、祖母は干し柿やサツマイモや駄菓子を沢山食べさせてくれました。

歯並びは、体と同じように生活習慣と体に取り込む食材で決まってきます。
結果だけを診ずに、原因を考えて子供たちの将来のために、私たち大人から変わっていけたらいいですね。

歯科衛生士 野口
吉川医療モール歯科